人件費とは?人件費率の計算方法や改善方法も徹底解説!!

企業活動において人件費の把握や改善はとても大切です。

人件費はすべての企業で発生する重要な経費であり、特に人件費が総原価に占める割合が大きい業種では、その把握と管理が利益向上(経営強化)の鍵を握ります。

そこで、本記事では人件費の適正化に欠かせない人件費率の考え方、計算方法、そして適正化の手法について解説します。自社の人件費が適切かどうかを知りたい、あるいは人件費を削減したい経営者の方はぜひ参考にしてみてください。

目次

人件費とは?

人件費とは、従業員に対して支払われる費用の総称です。

これには従業員への直接的な支払いだけでなく、間接的な費用も含まれます。人件費は、健全な会社経営において重要な要素であり、総経費の大きな割合を占めることがほとんどです。

そのため、人件費を適切に管理することは売上や利益を最大化するために不可欠です。単純に削減するだけでなく、従業員の満足度やサービス向上への投資とのバランスを考慮する必要があります。

人件費に含まれる項目とは?

次は人件費に含まれる費用を一部解説します。中でも下記の項目は企業によって変動しがちな部分です。

  • 給料や残業代などの手当
  • 賞与
  • 移動交通費
  • 退職金
  • 福利厚生費

給料や残業代などの手当

給料は従業員が提供する労働に対する直接的な対価です。

これには基本給のほか、残業代、夜勤手当、休日出勤手当などが含まれることがあります。残業代は法定労働時間を超える労働に対して支払われ、従業員の労働条件に基づいて計算されます。

残業が当たり前になっている企業ではここが大きな割合を占めており、離職の増加や利益を圧迫する原因にもなっています。

賞与

賞与は、企業の業績や従業員の個人的な成果に応じて支払われる追加報酬です。年に一度または数回、定期的に支給されることが多く、従業員のモチベーション向上や報奨としての役割を果たします。

移動交通費

従業員が通勤や業務上の移動にかかる費用も、人件費の一部として考えられます。

通勤手当や出張時の交通費、宿泊費などが含まれます。必要経費として企業が費用するのが通常ですが無駄な出張が増えると負担額が跳ね上がるため、適度な見直しが必要です。

退職金

退職金は従業員が退職する際に支払われる金額で、長期勤続の報奨や退職後の生活支援を目的としています。企業によっては、退職金制度がない場合もありますが、多くの企業では重要な福利厚生の一部となっています。

福利厚生費

福利厚生費とは企業が給与以外に負担する社員のためにかける費用です。

業務には直接関係しない費用なので例えば、社員旅行費やレクリエーション費・健康診断費用などが該当します。 従業員同士のコミュニケーションを円滑にする目的や意識改革やモチベーションアップに使われることが多いです。

これらは従業員の仕事への満足度や生産性を高めるために重要な役割を果たします。

定期的に人件費の内訳を細かく確認しよう

経営者自らどの項目にいくら使用しているのか?をしっかり把握することで適切な利益管理に一歩近づきます。

  • 無駄な残業が発生していないか?
  • その出張は本当に必要か?

を定期的に見直すことで利益の拡大や投資対象の選択肢を増やし事業拡大に繋げることができます。

人件費率とは?

人件費率は、企業の売上に対する人件費の割合を指し、企業にとって重要な指標です。

人件費率が高すぎる場合、業務効率や生産性が低いといえるでしょう。サービス業や店舗ビジネスでは人件費率が高くなる傾向にあり、卸売業などでは低くなる傾向にあります。

現代社会では人員不足が原因で人件費率が一時的に下がっている企業も多く見受けられますが、その分顧客満足度や売上が低下しては本末転倒なので低ければ良い!というわけでもありません。

人件費率の計算方法

人件費率には「売上高人件費率」と「売上総利益人件費率」の二つのタイプがあります。

「売上高人件費率」は売上高に対する人件費の割合で、計算式は人件費÷売上高です。

一方で、「売上総利益人件費率」は売上総利益(粗利)に対する人件費の割合です。

計算式は人件費÷売上総利益です。

前者は簡易的に計算できるメリットがありますが、後者は売上原価を含まないため、より精確な人件費率を得ることが可能です。

人件費率の適正値とは

適正な人件費率は業種や会社の規模によって異なりますが、一般的に売上高人件費率は20~25%前後が目安です。売上総利益人件費率の適正値も業種や企業規模により変わりますが、多くの場合50%以下が望ましいとされています。

業界で人件費率に差が出る

中小企業庁の令和3年中小企業実態基本調査によると、業種別の人件費率は以下のようになっています。

  • 飲食サービス業(宿泊業含む):37.0%
  • 製造業:20.7%
  • 情報通信業:30.7%
  • 小売業:13.3%
  • 卸売業:7.0%

これらの数値は、それぞれの業種における法人企業のデータに基づいて算出されています。業種によって人件費率は大きく異なり、同じ業界内でも業態によって人件費率に差が生じることがあります。

人件費率を適正管理しよう

先ほど記載した通り人件費率は単に低ければ良いというものではありません。

従業員の人数や労働力が利益の源泉であるほとんどの企業の場合、過度な人件費削減をすると会社の活力を損なってしまいます。

企業は自社の人件費率を定期的にモニタリングし、その変動を捉えて要因分析を行い問題があれば対策を講じる必要があります。

業界の平均値を参考にしながら、自社の目標売上や利益と照らし合わせて適切な人件費率を設定し、効率的な経営を目指しましょう。

人件費率を改善する方法

続いて人件費率を改善する方法を記載します。下記のような方法が主な改善案です。

  • 社員一人あたりの売上を上げる
  • 人員削減をする
  • 業務を効率化or自動化する
  • 残業時間を減らす

社員1人あたりの売上を上げる

人件費率を下げるために最も効果的な方法は、社員1人当たりの売上を増加させることです。これを実現するには、人材育成に注力したりITツール等の導入したりして社員の生産性向上を促進させる必要があります。

例えば、手書き業務や紙の管理を廃止したり、AIツールを活用したりも効果的です。また、外部講師を入れ従業員の仕事に対する考え方に刺激を与えたり、成果を出すためのスキルアップ研修の導入なども良いでしょう。

一人当たりの販売数を増やすだけでなく、売上発生までの工数を減らすことも重要です!

人員を削減する

経費削減の一環として、人員削減も考慮する必要があります。

しかし、これは従業員全体の士気に悪影響を及ぼす可能性があるため、慎重に実施する必要があります。まずは会議回数の削減や報告書の提出回数の見直し、部署ごとの生産性の確認などを行い必要最低限の人員で事業を回せるように工夫してみましょう。

業務を効率化or自動化する

ITツールの導入やAIツールを用いた自動化は人件費を削減しながら生産性を高めることができるとても効果の高い改善方法です。

DX 化が進んでいない企業やAIツールの活用方法が分からない経営者は書籍で勉強したりセミナーに参加してみたり、DX化支援サービスに依頼してみると良いでしょう。

上記の導入はコストを抑えながらより多くの業務を効率的にこなせるようになるため大変おすすめです。

残業時間を減らす

長時間の残業は人件費の高騰に直結します。残業時間の改善は人件費を抑えるだけでなく、従業員のモチベーションUPやワークライフバランスを尊重する機会にも繋がるため長期的な従業員の成長やパフォーマンス向上にも効果的です。

残業削減のためには、時間管理の徹底や業務の優先順位付け、必要に応じてリソースの再配分が効果的です。

これらの方法を適切に実施することで、人件費率の改善を図りながら、会社の持続的な成長をサポートすることが可能です。

経営者や人事担当者は、これらの戦略を通じて、財務の安定と従業員満足度向上のバランスを取ることが求められます。

1人あたりの貢献利益も分析しよう

企業の経営効率を高めるためには、単に人件費の割合に注目するだけでなく、1人の従業員がどれだけの利益に貢献しているのか?1人あたりの生み出している利益の算出や分析も重要です。

貢献利益はその従業員が直接的に会社にもたらす収益から人件費を差し引いた金額を指します。

この指標を用いることで、自社の人材が人件費に対してしっかり貢献できているのか?を分析〜評価できます。貢献利益が高い部署や人材への投資や育成を優先することで会社へのリターンも早く大きくなるでしょう。

人件費率まとめ

人件費率は、企業の経済力や財務状況と経営効率を分析するうえで必要な項目です。

業界業種によりますが人件費率は高すぎても低すぎても健全な経営とはいえません。会社の利益に大きな影響を及ぼし、貢献している人材への適切な配分、投資を行いましょう!

特に過度な人件費削減は従業員のモチベーション低下や生産性の低下を引き起こす可能性があるため注意が必要です。経営者や人事担当者は、人件費率の適切な管理と、従業員の生産性や顧客満足度とのバランスを試行錯誤しながら見極めることが大切です。

この記事では、人件費率の計算方法や、その割合を適切に管理するための戦略について解説してました。これらの知識が企業の健全な成長と従業員の満足度向上のきっかけに繋がれば幸いです。

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